A Break in the Forest

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A Break in the Forest[edit | edit source]

"Luna ~ A Break in the Forest" (木漏れ陽の森で) is an image story included on the CD-ROM of Langrisser III for the Sega Saturn.


いつも、終わってから後悔してしまう。

売り言葉に、買い言葉—-。

本当、自分という人間が嫌になってしまう。

そんなやりきれない心をかかえ、私は一人、まだ暗い明けの空を見上げる。

空にはまるで自分の分身のような、刃物のような薄い月が冷たい光りを放っている。


彼が他の女性たちに優しくするのを見ては、嫉妬を覚える。

そのくせ、いざ自分が優しくされると、彼を軽蔑して冷たい態度に出てしまう。

そんな正直になれない自分が、私は、嫌い—-。

どうして素直になれないのだろう?


天才軍師と世にうたわれるわが父、トーランド。そしてその父に子供の頃から剣術や兵法の基礎、策略までを教え込まれた。幼くして病死した兄に代わって、私は男として育てられたのだ。

そんな私は別動隊の副官という立場上、常に彼の側にいられる。

つまり他の女性よりは、彼に頼られる機会が多い。

彼の力になるに、私は喜びを覚える。だがそれと同じくらいに自分を頼りにする彼を嫌ってしまう。


やはり、自分は「あまのじゃく」なのだ。

昇ってきた朝陽に、消えかけた月を見上げながらぼんやりと考える。月は何も返してくれない。

月—-ルナ。

月は”狂気”の象徴だと、聞いたことがある。

ならば、その名を頂く私も、”狂気”の申し子なのだろうか?

男として育てられた自分と、本来の女としての自分が互いに自己主張をしている。

これが私、ルナの正体。

「‥‥ルナ‥‥」

聞き慣れた声に、私は反射的に振り返った。そこには全てを包み込む優しさと、人をひきつける力強さ、そして人としての悲しみを同時にたたえた瞳のあの人が、まっすぐに私を見つめてい

た。

「こんな森の奥まできていたなんて‥‥捜したよ」

高くなった太陽が、やさしい木漏れ陽を落としてくれる。その光りのシャワーの中を彼が近づいてくる。


—-私を捜してくれた?一晩も?ならば、嬉しい。

(何をうぬぼれているの。彼にとって私はただの仲間。)

—-男なんて、女の涙に弱いものよ。さあ、彼を手懐けるなら今よ。

(いいえ、彼は優しい。いつもみんなの事を気にかけてくれている。)

—-私を見て。もっと見つめて、私だけを。

(いや、見ないで!私はあなたが思っているほど出来た女じゃないの!)

頭の中に、自分の声がする。

心が悲鳴を上げている。

「‥‥すまなかった。今は俺一人より、この国の人々のことを優先するべきだったよ」

「いいえ、私もきつく言い過ぎたと思います。申し訳ありません」

「これからも、正しいと思ったことは迷わず言ってくれ」

「ディハルト様‥‥」

「俺は弱い人間なんだ。自分のしていることが正しいのか、不安になるときがある」

(それは私も同じです—-)

だが口にする事は出来ない。弱い自分を見せたくない、という自分がその言葉を黙らせる。

「だから、これからも力をかしてくれ」

「‥‥はい」

彼の瞳は私の心を見すかしてしまいそうで、私は慌てて目を反らした。少し心臓が早くなっている。顔も少し熱い。

こんなの、私らしくない。

「そろそろ、戻りましょう」

私はそれを気づかせないように先に立って歩き始めた。だが注意力がなくなっていたため、地面の石に足を取られてしまった。

「きゃっ」

「おっと!」

彼は私の手を取り抱きとめてくれた。彼のたくましい腕が私を包み、私は彼の胸に顔を埋める。

「大丈夫だったかい?」

「‥‥はい」

「よかった‥‥」

「‥‥あ、あの‥‥」

「‥ん?」

息さえ感じられるほどの距離で彼と目をあわせたとき、無意識に言葉がでかかっていた。

「わ、私‥‥」

自分は何を言おうとしているのだろう。

いいえ、続く言葉はわかっている。

—-あなたが好きです。

「大丈夫です、一人で歩けます‥‥」

「いいや。わが軍の軍師にもしものことがあったら大変だ。この手は離さないよ」

意地悪そうにそう言いながら彼は私の手を取ったまま歩き始める。

「そんな、本当に大丈夫です!」

「ダメ、ダメ!向こうに着くまでは離してあげないよ」

彼は笑う。楽しそうに笑う。

その笑い声に、私は彼の手を握る力を少しだけ強くした。

彼の大きな手。私の小さな手。彼の温かさが伝わって、心地よい。

—-いいよね?少しくらい素直になったって。

—-誰も私らしくないって、笑わないよね?

—-もし笑われたって、それが彼なら耐えられるよね。